幽霊文字

西洋の幽霊に対する感覚と日本の幽霊に対する感覚って似ているところもあれば、 けっこう違う気がします。

元になる所は、その時に説明できなかった事象を結びつけるのは文化問わず同じだ と思いますが、育ちによって敏感になる幽霊話ってやはり違いますね。

さて、ほぼつながりなしですが、妖怪 (幽霊) はコンピュータにも存在するの 知ってましたか?

その妖怪は経済産業省が1978年に、 JIS X 0208 規格を作成した 時に生み出した幽霊です。

JIS 漢字コード公開後、一部の人は不思議なことに気づきました。由来のな い、発音もできない正体不明の文字の存在を発見しました。それらを 「幽霊文字」呼ぶようになりました1

ほぼ20年間放置されてきましたが、1997年に幽霊文字と見なされた文字の調 査が行われ、結果が発表されました

JIS 規格作成時、典拠となっていた一つの漢字表は『国土行政区画総覧』とい うものです。その全7巻の900ページ近くの辞典から漢字を探したわけです! 大変だったと思いますが、殆どの幽霊漢字を見つけることができたそうです。

誤写の可能性があると考えられるものがほとんどのですが、中には特に面白い現象により生まれた幽霊文字があります。

「妛」は、滋賀県犬上郡多賀町河内にある「𡚴原」(あけんばら)の「𡚴」( 「山女(あけび)」の合字)がJIS基本漢字に未収録となっているため、こ れを誤った字体で登録した可能性がある。典拠である国土行政区画総覧におい て、版下作成時に異なる文字の一部を切って貼り合わせることで作字したと見 られる重ね目の影のような印刷跡があり、それを横画と見誤って転記したもの と推測されている[5][6]。「𡚴」はJIS X 0213に収録された。

このブログをご覧になれた通り2、幽霊漢字を写すことが現在でもできてい ます。

なぜなら、漢字の改変を行うことで、非互換や混乱を招く可能性があり、また、 Unicodeとの互換性維持と CJK 統合漢字 もあり、改変を行わなかったと判断したそうです。

面白いですね。

参照


  1. 呼び方は「幽霊語」から来てるそうです。 ↩︎

  2. 環境によってご覧になれてないかもしれません。 ↩︎